お部屋の防音について、ご相談をいただきましたので、どのような方法があるのか、まとめさせていただきます。
音と言うのは、空気や物(ガラスや床などへの衝撃)の振動ですので、空気の漏れを少なくする気密性(遮音性)と、振動を抑える吸音性を増してあげることが必要です。
① 裁判所仕様の防音壁
以前、裁判所の改修工事をさせていただいたことがありましたが、その時は一旦、壁を解体し新しく造るという内容でしたので、新しい壁の中に『グラスウール』と言う一般的に『断熱材』と呼ばれるものを入れます。グラスウールの厚みは基本的に10センチです。
断熱材ですので、外と接する壁に入れるのが一般的ですが、トイレや会議室など音漏れをさせたくないお部屋には全ての壁の中に入れて防音します。
断熱材を入れた上に遮音シートを貼り、
その上に石こうボードを2枚貼りにします。
更に、石こうボードの隙間ふさぎに気密遮音コーキングをした後に、壁紙(ビニールクロス)仕上げをします。
壁を壊してリフォームするのであれば、これが裁判所仕様の防音壁になりますが、家庭や一般的な事務所などでここまで大々的に改修するのは、費用も時間も掛かり過ぎますよね。
② 吸音ボードで、ご家庭でも簡単に防音。
そこで、壁を壊さずにできる防音リフォームをご紹介いたします。
『GC吸音ボード』という既製品のボードを既存の壁の上に貼るだけです。厚みは5センチです。
本来、壁の中にいれるグラスウールを化粧シートで包んだボードを現わしで壁に貼っていく工法です。(現しとは、そのままボードを見せちゃうという意味です。壁紙工事が不要になりますので材料は高くても施工費が抑えられます。)
グラスウールはそのままですと、チクチクするのと、見た目も悪いですので、ガラスクロスと言うシートで、部屋側の見える部分(触る部分)を巻いたボードがあります。
色はホワイト・グレー・ライトグレー・ブラックと限られますが、既存の壁を壊さずに貼っていくだけですので、施工は短期間で済みますし、コストも安く抑えられます。
現しでも、ひとつのデザインだと思えば許容できる範囲ではないでしょうか?
ただ、5センチ分、部屋が狭くはなりますが、、、(^_^;)
吸音パネルの下に、遮音シートを貼って併用すると相乗効果で性能UPを期待できるようです。
取付は、基本的に超強力ボンドテープとタッカー留めで、塩ビジョイナーで既存の壁に貼る工法です。(ピンで留める方法もありますが、コンクリート製の壁とかでないと不向きです。)
吸音ボードですので、音の振動を吸収します。防音と言うより、音を軽減させる効果があると言う表現が合ってるのかも知れません。
ただどうしても一部、壁紙を痛めますので、賃貸物件には向いていません。
③ 賃貸なら、つっぱり工法
D.I.Yであれば、ツーバイフォー木材と突っ張りアジャスターの部品を組み合わせて、天井や壁に接着剤など用いることなく吸音ボードを押さえておくことで、賃貸など退室時に取外しができるようにする方法もあるようです。
④防音には壁だけでなく、ドアと窓が重要です。
そして防音には、もうひとつ重要なのがドアや窓です。
壁を防音・吸音してあげても、ドアは隙間がありますし、窓はガラスですので音や振動を伝えやすい素材です。
音楽スタジオのような鉄で出来たドアを取り付けるのは無理がありますので、家庭用の既製品ドアで、音漏れ軽減タイプを取り付ける方法があります。
ドア枠とドアの隙間をパッキンでふさぐように出来ています。冒頭にも申しましたが「音=空気の振動」ですので、音漏れを軽減するには気密性を高めることが重要です。
また、床との隙間は、ドアを閉めた時にドアの下端に埋め込まれてるパッキンが下がって隙間を埋める機構になっています。
ただこれも、ドアの交換となりますとドア周辺の既存の壁を壊す必要がありますので高額になります。ドア自体も割高です。
⑤ 防音カーテンの活用
簡易的にはなりますが、防音カーテンを施すことで効果は期待できます。
⑥ 窓には樹脂内窓(インナーサッシ)で、補助金も活用
窓に関しては、既存の窓の内側に樹脂で出来た樹脂内窓(インナーサッシ)を取り付けることにより、耳で聴こえる騒音が半分以下に軽減されます。
あくまでも外からの騒音についての説明になりますが、部屋の中の音も外に逃がさない効果もありますので、樹脂内窓(インナーサッシ)は防音に大きな効果があると思います。
樹脂内窓(インナーサッシ)は、断熱の方で国から補助金が出る制度がありますので、応募が始まる新年度に施工されることをオススメします。
いかがだったでしょうか? 私はバンドでドラムを担当していますので、いつかは自宅に音楽スタジオを!?なんて夢と言いますか、野望もございます。(;^_^A
本格的な防音リフォームが出来れば越したことはありませんが、予算や工期を考えますと、吸音ボードの設置と防音カーテンや内窓設置をオススメいたします。
頑張ればD.I.Yできそうですね。(いえ、やってみますと案外面倒です、文字通り”壁”にぶち当たります。最初からプロに頼んだ方が良いですよ。)
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