空き家、どうする問題。

実家やご親戚の家が空き家になってしまい、どうしたら良いか困ってられる方の相談をいただくことがあります。

2018年の統計で日本の空き家率は、住宅総数6242万戸に対して、空き家数は846万戸。空き家率は13.55%だそうです。周囲を見渡してみますと、家が100軒あれば、13軒が空き家だというのはリアリティある数字ですね。

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空き家について、まずお伝えしたいのは「放置」しているのが一番得策ではありません。「だーから、困ってるんじゃない!」ですね、すみません。一刻も早く解決したいでよね、一緒に考えてみましょう。

■放置してるデメリット
1.固定定資産税が最大6倍になる。
空き家を所有し続けると、毎年、固定資産税や都市計画税を払い続けることになります。
「建物を壊して更地にすると、固定資産税が6倍になるから壊さない方が良いよ!」という言葉が独り歩きして、建物の解体を躊躇され、空き家を放置している方が多いようです。たしかに建物が残っていますと「住宅用地特例」という税制上の軽減措置がありますが、建物を解体し更地にすると最大6倍になるのも事実。しかしそれはあくまで最大であり、放置してても税金が全くなくなる訳ではなく、お金に代えられないようなもっと大きなリスクになります。

2015年に制定された空き家対策特別措置法で、市町村に倒壊などの危険があると判断され「特定空家」に指定されると軽減措置が解除され、固定定資産税が最大6倍になります。更に強制執行で行政から空き家を解体され、その費用を請求されることもあります。

2.周辺住民への被害が発生する。
人が住んでいないと家は傷みやすく、瓦や外壁が落下して、隣人に怪我や、あわや人命を失うなんてことになりますと、損害賠償では済まされない、取り返しのつかない事態も考えられます。

3.犯罪発生の確率が高まる。
放火や盗難などの対象になりやすく、空き家が多い地域は犯罪発生の確率が上がってしまうそうです。

4.資産価値が下がり、税金や維持管理費を払い続けることになる。
空き家を放置しておくと当然、資産価値はどんどん下がっていきます。「住宅用地特例」があってもなくても固定資産税など税金を払い続けなくてはいけないのは変わりありません。少なくとも倒壊しないよう住むアテもないのに、無駄な修繕費が必要だったり、保険を掛けたり維持管理費が積み重なるばかりです。

■放置しないメリット
1.相続後、3年以内に売却すると税制優遇3000万円控除。
相続後、3年以内に空き家を売却すれば税金が優遇されます。言い方は悪いですが「善は急げ、銭も急げ」ですね。空き家売却した際に、譲渡所得から3000万円までを控除できる「3000万円特別控除」という特例があります。ただし、昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた住宅の場合は、耐震補強するか解体して更地にして売却する必要があります。
(参考資料:国土交通省のホームページ

2.負債になる前に、資産として価値を活かす。
早めに対策すれば、セカンドハウスとして自分たちで活用したり、中古住宅として売ることが出来るかも知れませんし、少しの修繕で賃貸にしたり、土地活用で不動産収益を得ることができるかも知れませんが、放置すればするほど資産価値は下がっていくことでしょう。負債になってしまいます。

■空き家を解体すべきか? 壊さず活用すべきか?
「古民家とか味があって良いじゃん! リフォームしてレストランやカフェとかにしたらどうかしら?」
残念ながら…それが出来るのは、ごく稀でしょう。
景勝地、観光地や商店街、商業地域など商業的価値のある好立地だったり、建物自体に歴史的・文化財的な価値があるような豪農の館や、一流建築家の作品だったりしたら夢ではないかも知れません。

「空き家を解体すべきか? 壊さず活用すべきか?」の判断基準はズバリ! 築年数です。ポイントは「耐震」と「断熱」。

ハッキリ言い切りますと、昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた住宅なら解体の方向が良いと思います。

建築基準法で「耐震基準」が見直されたのが、昭和56年(1981年)5月31日ですので、それ以前に建てられた住宅は耐震診断が必要で、多かれ少なかれ耐震改修が必要になる場合が多いです。雪国に於いて、快適な生活に不可欠な性能としての断熱に関しても昭和55年(1980年)に基準が見直されていますので、やはり「昭和56年(1981年)5月31日」が重要な判断基準になります。

昭和56年(1981年)6月以降に建てられた家であれば解体せずに選択肢は3つ。「売るか?」「貸すか?」「住むか?」。

いずれもまずもって、「相続登記」をして、実家を自分の名義にする必要があります。「相続登記」とは、不動産の所有者(親など)の名義を被相続人のあなた名義に変更しておくことです。

■空き家を売る方法は2つ
1.不動産業者に売ってもらう方法。
ご自分で買い手を見つけることが出来れば、それが1番良いですが、相場も方法もわからないので、やはりプロの不動産業者に相談されることになるかと思います。
不動産業者を決めるには、いくつかの地元の不動産業者へ、いくらくらいで販売してもらえそうか査定見積りを依頼をされると良いようです。
自分でも相場をある程度、把握しときたいのであれば、市町村(例:三条市 空き家バンク)や不動産業者のやってるポータルサイトの「空き家バンク」などで、周辺の中古住宅販売の物件で相場感を掴むとか、国土交通省の「土地総合情報システム」で実際の売買情報は、ある程度、調べられます。
不動産業者さんに買い手を見つけてもらうには、媒介契約(ばいかいけいやく)が必要になります。
契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。(媒介契約について、詳しくはコチラ

2.買取業者に買いとってもらう方法
媒介契約して不動産業者に買い手を見つけてもらうには、条件が悪いと何年も見つからない場合があります。短期間に売りたいのであれば、「カチタス」など買取業者に買ってもらう方法もありますが、当然、相当安く手放すことになるようです。定かではありませんが、買取価格は相場の1/2いや、1/3だ!なんてことを耳にしたことがあります。中古買取業者への買取依頼は最終手段ですかね。

■空き家を活用する方法
1.リフォームと言っても大きく3種。「修繕」と「美観」と「性能向上」
リフォームせずにそのまま住んだり、貸したりできる、程度の良いお家なら良いのですが、昭和56年(1981年)6月以降と言っても、つまりは築40年も含まれる訳ですから、何かしらのリフォームが必要になってくると思います。

1)修繕リフォーム
住むにも貸すにも、かたい言葉でいえば、「構造上主要な部分」と「水回り」の修繕は優先順位が高いリフォームです。屋根や外壁に雨漏りがないこと、基礎や柱・梁などに大きな亀裂や損壊などない状態であることは必須ですし、いわゆる「水まわり」…トイレ・キッチン・お風呂・給湯器など水まわりに水漏れや使えない状態では住むことが出来ません。

2)美観リフォーム
「貸す」となりますと、見栄えも考慮していかないといけなくなります。
外壁塗装や、床フローリング・壁紙の張替え程度は必要になってくると思います。

3)性能向上リフォーム
「住む」と言うことになりますと、安全性や快適さが求められます。昭和56年(1981年)6月以降に建てられた家であれば、ある程度、耐震と断熱性能の根拠はありますが、現代の住宅性能とは大きくかけ離れています。特に、断熱性能がとても低く、快適さだけでなく、ヒートショックなど住む人の健康や命にも関わってきます。

■インスペクションの必要性

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リフォームの優先順位や範囲、規模を判断するには、「インスペクション」(建物状況調査・住宅診断)を行うことをお勧めします。
「インスペクション」とは、建築士など資格をもった専門の検査員が、第三者的な立場で、目視、動作確認、聞き取りなどにより「住宅の現状の検査を行うこと」をいいます。
インスペクションの結果に基づいて、どこから?どこまで?リフォームする必要があるか判断材料になります。

そして、インスペクションは「売る」時にも関係してきます。中古住宅を売買を仲介する宅地建物取引業者(宅建業者、いわゆる不動産屋さんですね。)にかかわる宅建業法が。2018年4月1日に行われた改正で「インスペクションの説明」を義務化されています。インスペクション自体の義務化ではなく、あくまで「インスペクションってのがありますよ。」という説明をしなさいと言うことです。ただ、将来的にはインスペクション必須の方向かも知れません。

インスペクションの費用は、5~8万円くらいが相場のようです。新築住宅では10年間の瑕疵(かし)を保証する必要がありますので、そういう保険・保証会社がインスペクションをしています。これからは中古住宅でも瑕疵保険・保障もどんどん掛けられていくのかも知れません。

自動車…中古車販売を考えたら当然のことですよね。走行距離やメンテナンス記録、事故歴はないか記録を確認し、故障はないか、交換しておく部品はないかなどしっかり点検され整備された状態にして、一定期間の保証がついて売られるのと同じようになっていくのだろうと予想されます。

実はわたくし、こう見えて?(どう見えて?)二級建築士(一級建築施工管理技士でもあります)ですので前職ではその瑕疵保険・保証会社のインスペクションの講習を受け、資格も持っていました。(現在、更新はしていません。)
更新しない理由は、正直に申しますとインスペクションと響きはカッコいいのですが、基本的に「見えるとこだけ」の「目視」での調査ですので、チェックリストに則って、1時間もあればチェック終わってしまいます。(^^;) 保険を掛けるなどの、近く(新潟県県央地域)で正式な報告書が要らなければ、リフォームの相談と一緒にチェックくらい無料で致します。

■まとめ
・空き家は放置すればするほど損。

・「空き家を壊して更地にすると固定資産税が最大6倍になる!」に惑わされない。あくまで最大であり、放置してても税金が全くなくなる訳ではなく、もっとリスクが大きくなります。

・リスクとしては「空き家対策特別措置法」で危険だと市町村に判断され「特定空家」に指定されると強制的に6倍になる。更に強制的に解体されてしまい、多額の解体費用も請求される。

・近隣に迷惑をかけてしまう上に、税金や維持費を払い続けるだけ。資産が負債になる前に、価値を活かす方法を選びましょう。

・相続後、3年以内に売却すると税制優遇3000万円控除される。善も銭も急げ!

・空き家を解体するかどうかの判断基準は明確。ずばり!昭和56年(1981年)5月31日以前の建物であれば解体の方向です。

・昭和56年(1981年)6月以降に建てられた家であれば、「売るか?」「貸すか?」「住むか?」の三択。

・それにはまず、「相続登記」…不動産の所有者(親など)の名義を被相続人のあなた名義に変更が必要。

・不動産業者さんに買い手を見つけてもらうには、媒介契約(ばいかいけいやく)が必要。お近くの不動産屋さんに数社、査定見積を依頼する。

・中古住宅買取業者への買取依頼は最終手段。

・リフォームには3種類「修繕」「美観」「性能向上」リフォームがある。

・どこから、どこまでリフォームするかを決めるには、「インスペクション(建物状況調査)」がお薦め。中古住宅として売る場合にも、これからはインスペクションが重要。費用は5〜8万円程度。

新潟県 県央地区で、空き家のご相談は「ユキハウス」まで

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