2025年4月1日施行の改正建築基準法の要点7つ

2025年4月1日より改正建築基準法が施行されます。改正の要点7つをまとめました。一般の方向けというより、建築業界の方々向けになっていますので、やや難解ですみません。一般の方は、最後の「まとめ」だけお読みください。

建築基準法改正2025年

2025年4月1日施行の建築基準法改正の要点7つ

改正建築基準法の要点は、全部で7つあります。

  1. 4号特例の縮小
  2. 構造規制の合理化
  3. 省エネ基準適合の義務化
  4. 大規模木造建築物の防火規定変更
  5. 中層木造建築物の耐火性能基準合理化
  6. 既存不適格建築物に対する現行基準の一部免除
  7. 新2号建築物(木造2階建て・延べ面積200m2超)の大規模リフォームも確認申請が必要

それぞれの要点を詳しく解説します。

1. 4号特例が縮小される

2025年の改正で最重要ともいわれる変更点が「4号特例」の見直しです。これまで4号建築物だった区分は、「新2号建築物・新3号建築物」に再編成されます。

「4号特例」とは

4号特例とは、木造の戸建住宅を建築する際、構造審査を省略できる特例でした。

以下の要件を満たす建築物が4号特例に該当します。

【4号建築物の要件】一般建築物特殊建築物
木造階数2階建て以下
延べ面積500m2以下100m2以下
高さ13m(軒高9m)以下
非木造階数平屋
延べ面積200m2以下100m2以下

一般建築物は戸建住宅や事務所など、特殊建築物は学校や病院、店舗、共同住宅が該当します。

4号建築物はこれまで、「建築士が設計」「工事監理者(建築士)が、設計図書通りの施工を確認」していれば、構造耐力関係規定等の審査を省略できました。一般的な戸建住宅の大半は4号建築物に該当するため、申請が少なくて済み、スピーディーに施工できるというメリットもありました。

改正後の「新2号建築物」と「新3号建築物」とは

2025年4月から、4号特例は「新2号建築物」と「新3号建築物」に再編されます。

  • 新2号建築物:木造2階建て・木造平屋建てで延べ面積200m2(およそ60坪)超
  • 新3号建築物:木造平屋建て・延べ面積200m2(およそ60坪)以下

これまで4号建築物はすべて審査を省略できました。しかし、2025年4月以降は、基本的に審査が必要になります。

※ 都市区域外に建築する新3号建築物は、引き続き審査省略が可能です。

また、建築確認申請の折、省エネ基準・構造安全性基準適合性を示す図書を提出しなければなりません。

2. 構造規制の合理化が図られる

建築技術の発展や施主ニーズの多様化により、多様な木造建築物が建てられるようになってきました。ただ、現行の建築基準法は、最新の実態に対応できていないのが実情です。

2025年の改正では、実情に合わせて構造規制が合理化されます。

階数の高い木造建築物増加に合わせた改正とは

現行の建築基準法は、高さ13m(軒高9m)を超える高層木造建築物に、詳細な構造計算を課しています。また、一級建築士でなければ設計や工事監督ができない規則もあります。

ただ近年は、環境や資源の配慮などから、高層木造建築物の需要が高まっています。高層化が続く木造建築物を円滑に施工するため、階数の高い木造建築物の構造計算が合理化されることになりました。

改正後は、「3階以下かつ、高さ16m以下」までの木造建築物は、簡易な構造計算で建築可能で、二級建築士も設計を手掛けられるようになります。

ただし、構造計算が必要な延べ面積の要件は縮小されます。これまでの500m2超に対し、改正後は300m2超の建築物で構造計算が必要です。

実情に合わせた壁量基準等の見直しとは

現行の建築基準法は、必要な建築物の壁量・柱の小径は、屋根の重さ・軽さを基準として算定するよう定めています。

ところが、近年は建築物の総重量が大きくなる傾向があります。省エネ性能の高い住宅は総じて、断熱性を高めるためにトリプルガラスサッシを採用したり、創エネのための太陽光発電パネルを屋根上に設置したりするためです。

重い建築物は、従来の基準以上に、地震動への配慮が欠かせません。

そこで、2025年の建築基準法改正では、木造建築物は実際に応じて、必要な壁量や柱の小径を算定できるよう見直しされます。

3. 省エネ基準適合が義務化される

2025年4月から原則的にすべての新築建築物に対して、省エネ基準への適合が義務化されます。施行日以降に着工する建築物が対象です。

これまで届出義務・説明義務に留まっていた建築物も、基準適合が必須となるため、施主への丁寧な説明と合意形成が重要になります。

省エネ基準は、住宅・非住宅ともに適用される「一次エネルギー消費量基準(BEI)」と、住宅のみに適用される「外皮基準」から成ります。建築物の省エネ性能の計算結果を持って、省エネ適判(省エネ適合性判定)を受けなければならず、施工スケジュールにも影響する大切なポイントです。

なお、増改築の場合は、増改築部分のみが省エネ基準に適合していれば問題ありません。従来のように増改築後の建築物全体で、省エネ基準に適合する必要はない点を押さえてください。

4. 大規模木造建築物の防火規定が変更される。

建築基準法の改正によって、建築物のデザイン性向上も期待されています。

現行基準では、 3,000m2を超える木造の大規模建築物に対して、耐火に関する厳しい規定があります。壁や柱を耐火構造とする場合、木造部分を不燃材料で覆わなければなりません。せっかくの木のぬくもりを隠さざるを得ず、デザインも画一的でした。

改正後は、新しい構造方法の導入により、構造木材の「表し(あらわし)」使用が可能になります。木材利用の促進という、建築基準法改正の目的にも適った改正ポイントです。

5. 中層木造建築物の耐火性能基準が合理化される

建築物の火災を防ぐため、現行の建築基準法は階数に応じた耐火構造性能を求めています。

<現行基準>
  • 最上階から階数4以内: 1時間耐火性能
  • 最上階から階数5以上14以内: 2時間耐火性能
  • 最上階から階数15以上:3時間耐火性能

火災発生時の安全確保のためには、当然明瞭な基準が必要です。しかし現行基準では、5階建てと14階建ての建築物に、同水準の耐火性能が求められます。

2025年の改正では、中層建築物に対する耐火性能基準が合理化されます。例えば、5階建て以上・9階建て以下の建築物の最下層で、90分耐火できれば木造での設計が可能になります。

6. 既存不適格建築物に対する現行基準の一部が免除になる。

現行の建築基準法の施行前に建てられた建築物の中には、現法に適合しない事例も多々あります。接道義務や道路内建築制限に違反している建築物が、代表例でしょう。そもそもの立地や土地条件が違法だと、どうリノベーションしても現行法に適合させられない問題が発生しています。

今回の改正では、特定条件を満たせば、現行基準を適用除外とする特例が設けられました。古い建築物の再利用が促進され、地域の活性化にもつながると期待されています。

7. 新2号建築物(木造2階建て・平屋建てで延べ面積200m2超)の大規模なリフォームも確認申請が必要。

新2号建築物(木造2階建て・平屋建てで延べ面積200m2超)の大規模修繕や大規模模様替えを行う場合、つまり、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超える修繕工事等を行う場合は、建築確認申請が必要となります。

ただし、下記の内容のリフォームについては確認申請が不要であると、国土交通省の通達がありました。

● 屋根・外壁の張替 : 屋根や外壁の張替は確認申請が不要。
下地が腐っている場合でも、取替が半分以下であれば確認申請は不要です。

● 内壁解体後の断熱工事 : 内壁を解体して行う断熱工事には確認申請は不要です。

● 床・階段 : 床や階段に関する規定は検討中です。

● 石場建ての設計 : 石場建てには一級建築士が必要です。
石場建てに適した建築士の配置については検討中です。

● 主要構造部の改修 : 主要構造部の半分以上を改修する場合、既存の現況よりも状況がよくなるものは確認申請が必要ですが、耐震基準は免除されます。
例: 屋根瓦を板金屋根に変更、モルタル外壁を窯業系サイディングに変更。
リノベ確認申請後の変更 : リノベーションの確認申請提出後に現場調査を行い、軽微な変更は認められます。

● 基礎補強工事 : 引き抜き強度がゼロの基礎については補強の必要性が検討中です。

● 道路隣接のない建物 : 道路に隣接していない建物でも、リノベーションには確認申請が可能です(新築は不可)。再建築不可などに新たな情報が出ています。本来申請ができないですが、既存建物の改修では申請ができるという判断です。しかしながら、申請時に建蔽率や斜線などを守る必要がございます。

● 増築の既存訴求 : 既存建物の増築については検討中です。

まとめ

一般の方へ、もっと要約しますと…

● 2025年4月1日以降で、2階建ての家(つまり、2階建ての家は全て対象)及び、延べ面積200m2(およそ60坪)を超える平屋建て新築や、大規模なリフォームをする場合は確認申請が基本必要になります。

● 加えて、確認申請時には、『構造関係規定等の図書』(いわゆる構造計算書、耐震性能を確認します。)と『省エネ関連の図書』(断熱気密性能とエコ電化製品など)が必要となります。

この法改正に於いて、お客様のメリットとしては、より安心安全な家を手に入れることができます。耐震性能や高断熱高気密性能もきちんと担保・証明されます。

デメリットはコストアップや、今までより確認申請・完了検査などの費用アップ及び、期間が長く必要になります。

ただ、一生の買い物ですので、より安心安全な家を手にできるのはコストで計るものではないように思います。

建築基準法の改正施行前から、当然なこととして、しっかり耐震性能の根拠となる構造計算と、より高断熱高気密を追求されてる会社もありますし、そうでなかった会社もありましたが、この改正施行で一気に底上げされていくでしょう。

踏まえて、更に高みを目指して努力され、設計力・技術力がある会社が選ばれるようになっていくように思います。

弊社も、リフォームではありますが、法順守はもとより、より高みを目指して、しっかり勉強して実践していきたいと考えております。

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